起こり得る介護事故の例
介護が必要な状態にある高齢者は、日常生活において様々なリスクにさらされており、介護事故は常に起こり得るものである。思わぬ事故を防ぎ安全な生活を送るためには、どのような事故が起こり得るかを理解したうえで対策を講じることが重要だ。
介護事故の例は、転倒や誤飲、誤薬、やけどなどさまざまなものがある。なかでも、転倒は介護事故の中で最も多く発生する事故の一つだ。加齢に伴い、筋力やバランス能力が低下するため、ちょっとした段差や濡れた床で転倒するリスクが高くなる。特に、介護施設の浴室やトイレ、階段などは転倒しやすい場所であるため、手すりや滑り止めマットなどを設置するなどの対策が必要である。また、高齢者の場合、転倒によって骨折などの大きな怪我につながる可能性も高く、注意が必要である。
誤飲や誤薬も、深刻な結果を招く可能性のある介護事故だ。認知症の高齢者の場合、薬と間違えて洗剤などを飲んでしまう誤飲や、複数の薬を服用している際に、薬の飲み間違いや飲み忘れなどが起こる可能性がある。そのため、介護職は薬の管理は徹底し、薬の種類や服用時間を明確にする必要がある。
また、誤飲を防ぐためには、危険なものを手の届かない場所に置く、錠剤を粉砕して飲みやすくするなどの工夫も重要である。やけどは、熱い飲み物や食べ物、ストーブなどによって起こる。高齢者は皮膚が薄く、熱さを感じにくい場合もあるため、やけどを負いやすい。そのため、熱いものを扱う際には十分に注意し、温度を確認してから提供することが望ましい。これらの事故は、介護する側の注意や環境整備によって防ぐことも可能である。