職員が責任を負うケースとは
さまざまなケースの介護事故があり、そのなかでも職員が責任を追わなければならないケースが存在する。職員が法的責任を負うのは、主に「故意」または「過失」によって介護事故を起こした場合である。「故意」とは、わざと事故を起こすことを指す。例えば、職員が利用者に暴力を振るい怪我を負わせた場合や、意図的に間違った薬を投与した場合などが該当する。このような行為は、刑事責任を問われる可能性が高く、重大な結果を招く。
「過失」とは、不注意や怠慢によって事故を起こしてしまうことを指す。例えば、利用者の歩行能力を十分に確認せずに転倒させてしまった場合や、食事介助時に適切な姿勢を保持させずに誤嚥させてしまった場合などが該当する。過失による事故の場合、民事責任、つまり損害賠償を請求される可能性があるのだ。
しかし、全ての介護事故において職員が責任を負うわけではない。介護現場は、利用者の状態が変化しやすく、予測困難な状況が発生することもある。例えば、利用者が突然立ち上がろうとして転倒した場合など、職員が適切な対応をとっていたにもかかわらず、事故を防げない場合もある。このようなケースでは、職員に過失がないと判断されることもある。
重要なのは、職員が業務を遂行する上で、一般的に期待される注意義務を怠っていたかどうかという点である。日頃から利用者の状態を丁寧に観察し、安全に配慮した行動を心がけることが大切である。また、事故が発生した際は、速やかに報告し、適切な処置を行うことで、被害の拡大を防ぎ、責任を軽減できる可能性がある。